第29回山結びレポート(2025年10月18日)

天気にも恵まれ、作業日和だった第29回山結びのご報告です。地元の福津のみならず、関東や佐賀からの参加もありました。今回も引き続き宮地山の山腹にある竹やぶエリアの整備です。

竹や枯損木、光の入らない場所の枝などを整備していきます。竹を切って、ボサ置きして、シガラを作ります。「さらっと説明されても分からないよ!」と私も思うので少し言葉の説明をしますね。


「枯損木(こそんぼく)」
枯れてしまった木のことです。周りの木が倒れていないのに木が倒れる場合、それは枯損木が原因であることが多く、道路への倒木は通行の妨げになるだけでなく、事故につながる危険性があります。


「ボサ置き」
森の斜面を改善するために、剪定した枝や落ち葉を組み合わせて斜面に設置する手法です。これにより、雨水の流れを穏やかにし、土壌の浸食を防ぎ、生き物が棲みやすい環境を育むことで、森の持続力を回復させることを目的としています。

「シガラ」

水を一時的に止める柵のこと。地面に杭を打ち、その間に縦割りにした竹や枝などを互い違いに編み込んで柵を作ります。雨などをろ過しながら水を通し、土砂の細粒分は通過しないようにできます。豪雨で山肌を流れる雨水や土の勢いを緩めることもできるので防災効果もあると言われています。

荒廃して竹が覆いしげると、光が入りにくくなり地表面の植生に光が届かなくなります。さらに、風の通りも悪いので湿度が高く蚊などが繁殖しやすくなります。数百年の長いスパンで自然環境を見ればそのままでも良いのかもしれませんが、私たちが快適に暮らすには整備をした方がいいですよね。ただし、なんでもかんでも切って開拓するのではなく「適当(ちょうどよい加減)」にしておくことが大事です。

今まで光も風も当たらなかった場所に、急に日差しが強く入り風も吹き始めるとその周辺の生態系が大きく崩れてしまいます。山肌も露出するので、山の乾燥化がさらに進みかねません。


良かれと思ってやったことが、余計に環境を悪くすることもあります。山結びでは、生態学者の瀬戸 昌宣の専門知識を参加者と共有し、全体を見て各々が最適解はなんだろうと考えることを大事にしています。聞いて、考えて、行動して、振り返って、また考えて行動する。このくり返しです。

ここ数回で竹やぶエリアを整備したので、お昼休憩を気持ちよく取れる場所にもなりました。竹がなくなったことで、見晴らしが良くなり風も通るようになったので気持ちいいですね。ちなみに、写真下は整備前の竹やぶです。光も風も取らない薄暗くジメジメした場所でした。

切った竹や枯損木や枝などは、素材として再利用するので大事に取っておきます。山道を整備するときの階段や杭など使い道は様々です。整備した時にでる木や土や枝や石などは、余すことなく山の中で再利用します。これも山結びスタイルの特徴です。

さて、今年の山結びはあと2回です。12月は毎年恒例の「宮地嶽神社大しめ祭」に参加して大縄を編むと思うので、山での作業は来月11月のにみになります。

来月は11月15日(土)を予定です。

皆さまのご参加お待ちしております!


第30回山結びの詳細は山結び公式ウェブサイトへ↓

https://yamamusubi.nposoma.org/

#ひとが育つ環境をととのえる

「わたしは生まれる時代も場所も選ぶことができません。 その生まれ落ちた環境で、ただ精いっぱい育つだけです。」 ひとりひとりの「わたし」が育つ環境をととのえる、それがSOMAの仕事です。