第31回山結びレポート(2025年12月20日)
今年最後の第31回山結びを12月20日(土)に開催しました。
年の瀬とは思えないほどの暖かさの中、毎年恒例になりつつある「宮地嶽神社 大しめ祭」に参加して大しめ縄編みをしてきました。今回は関東、中国地方、四国から参加の方もあり、毎回遠方の方もこられることにSOMAとしても驚きと感謝です。
縄は1本1.5トンほどあり、縄2本を人力で編んでいき、しめ縄を作るという迫力ある神事です。ここ2年は雨や雪の大荒れの天気でしたが、今年は汗ばむくらいの陽気で気持ちよく作業ができました。
福津市の福井市長も参加されてました。編み上がった大しめ縄は重機で持ち上げられ、滑車で両サイドを釣り上げ微調整を繰り返しましす。大しめ縄が自重で崩れないようにしながら、位置合わせを慎重にするという大変な作業です。この作業は宮地嶽神社の氏子青年会の方々が毎年されています。
参加者には「神汁(かみじる)」とおにぎりが振る舞われ、お腹を満たしてから私たちは山の作業へと向かいました。
今回は、いつもの登山ルートではなく、普段は人が通らない道なき道ルートを歩きながら、山の現状を説明していきます。
途中に倒木で塞がれているところがあったので、倒木を使って道の整備をしました。倒木を1mくらいの丸太にして、道の隅に肩を作っていきます。丸太を道沿いに並べ、そこにしがら(枝やツタなど)を編んで、道の土が麓に流れ出ない仕組みを作ります。
こうすることで、雨で山頂から流れてきた雨水や土が止められ、雨水と土が流れ落ちる勢いを緩めます。ただ倒木をどかすだけでなく、簡単にできる作業をするだけで減災効果も生まれてきます。
SOMAが大事にしている「自然環境を自治する」に通じることです。昔の人たちは、こんな風に自分たちの生活路や作業路を自分たちで整えてきました。
最近では、簡単にできる作業でも「作業の伝承」がされておらず、自治体や業者に倒木をどけてもらうことしかできなくなりました。時代が変わり知らないのは仕方ないですが、改めて自然との関わり方を再確認する時期に来ているのではないかと思います。
倒木の処理が終わって、道なき道を進んでいきます。下から上に進んでいくとあることに目が止まりました。
それは「土の変化」です。
下の方では土に湿り気があり落ち葉もしっとりしている感じでしたが、上に進むにつれどんどん土は乾燥気味に。ある地点からは、さらさらの土しかなく足場も作れないほどの乾燥具合でした。山の中でも水脈のある箇所はしっとりしてるし、ない場所は乾燥しています。
さらに、しっとりしている箇所では土や木々からの水の発散があるので湿度があり気温も下がります。乾燥した場所では、水がないのでさらに乾燥していきます。
乾燥気味で植生があまり育たない土地には彼らが頭を出してきます。
そう「竹」です。
竹は成長が早く大量の水を吸水するので、土地が乾燥化していきます。もともと保水力の弱い土地に竹が生えると、他の植生は乾燥で枯れ、竹は土地の水分を大量に吸い上げ広がっていきます。さらに竹は根が浅いので、豪雨などで竹の重さと雨水で土が滑り土砂災害になるリスクを高めるとも言われています。
けっこう険しい道だったので、参加者のみなさんは進むのに必死で大変でしたね。
でも、山の環境や原理を身をもって知る良い機会だったと思います。
最後は山頂で、山頂部で今までやってきた作業の振り返りをして、補修をしてきました。今回、特別ゲストのNPO法人地球守の理事でのりまつ造園代表もしている乗松正博さんから、木や土にどんな風に雨水が染み込み、どうすれば自然を健康な状態にできるかなどをたくさん教えていただきました。
今年も1年SOMAならびに山結びをご支援いただきありがとうございました。
次回の第32回山結びは2026年1月17日(土)開催予定です。
来年も引き続きよろしくお願いいたします。
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