第23回山結びレポート(2025年3月15日)
雨の中開催された第23回山結びは、雨の日にしか見られない風景を感じながら、山に降る雨がどのように動いていくのかを知ることができました。
雨が降ると雨水は木を伝い地面に流れていきます。一見、当たり前のように見えますが、木から流れて落ちた水はどこにいくのでしょう?窪みがあればそこに溜まるし、傾斜があれば低いところに流れていきます。その過程で、雨水はどれくらい土中に染み込んでいくのか考えたことはありますか?
乾燥し切った土は水を弾き、土中に雨水の侵入をさまたげます。観葉植物の土がカラカラに乾燥してしまい水をあげても水を弾いて吸わないのと同じです。いくら雨が降っても土が乾燥し切っていると雨水は土中には入り込まず乾燥したままです。日本にはそんな山がたくさんあります。
山結びでは誰でもできる自然環境再生の作業をやっています。乾燥した場所に生えている木の根に石を刺し土中に水が染み込むようにしたり、穴を掘り枝葉を敷き詰め、土を豊かにする微生物や菌が住み着けるような環境を作ったりします。ほんと、知っていれば誰でにでもできる作業ばかりです。
この日は、山が崩れる仕組みとそれを防ぐための仕組みの話もしました。土砂崩れのシミュレーションのような感じです。山肌がただの斜面だと崩れればそれがそのまま崩れ落ちていきますが、ところどころに肩を作ることで勢いを緩やかにし被害を軽減することができます。その肩に有機物を一緒に敷き詰めておけば、そこに緑が芽生え根が生え、崩れにくい構造も生まれます。
昔の人は、これを当たり前のようにやっていましたが、現代ではコンクリートで崩れないように塗り固めるだけです。支えられる負荷を超えた時点でコンクリートは壊れ、コンクリートの大きな破片と共に勢いよく土砂が流れ落ちていきます。でも、即効性のあるコンクリートのメリットも大きいのでどちらが正しいとはいえません。ケースバイケースで見ていく必要はあります。
山肌が崩れえぐれている場所が山には多くあります。そこを見ると、どれだけ雨が降っていても乾燥したままの土が露わになっています。表面から雨水が浸透することもできず、地中にも水がないので吸い上げることもできません。そうなると表面はさらに乾燥して水を吸うこともできなくなりさらに崩れていきます。
雨が降り、山がそれを蓄えながら濾過し、キレイな水を作ります。それが川に流れ私たちの生活を支えてくれていました。現代の山では、山が水を含むことができず水脈が枯れてしまうこともあります。雨水は山に蓄えられず、山肌を勢いよく伝い土砂を含んで山のふもとや川に流れ込んでいきます。雨の後の濁った川を見ればそれがよくわかります。川から海に流れ出る場所を見れば土や木の枝などが海に流れ出ているのがよくわかります。
自然とともに生きてきた私たちが、自然から離れて生活していると忘れがちな大事なことを雨の山は教えてくれました。
これから先100年後はどうなっていくのでしょうね。このまま放っておいていいのかといつも考えてしまします。これから生きていく子供たちや後世が自然豊かな生活ができるように、今私たちができることはなんでしょう。微々たることかもしれませんが、社会全体の意識が変わればそれは大きな力となり、未来を変えていくと思います。山結びはそのキッカケとなりたいです。
さて、次回の山結びは4月19日(土)です。
春の日差しが気持ち良い季節になりますね。新緑も芽吹いてるころだと思います。山結びで整備した場所に、緑が芽吹いている姿を見ることができるかもしれませんね。
皆さまのご参加お待ちしております。
詳しくは山結びウェブサイトをご覧ください。
https://yamamusubi.nposoma.org/
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